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CAROL2014 suite: In The Forest/Carol (Carol's theme II)
QUIT30

QUIT30

TM NETWORK


賑わいを見せる通りを歩き、人の波をかき分けるキャロル。物語はロンドンの一画から始まり、やがて舞台は彼女が住むバースに移り、そこから異世界に導かれます。1991年の4月、彼女は異世界からのメッセージを受け取り、それが何を意味するかわからないままに時を過ごします。いくつかの不思議な出来事を見聞きして、気持ちがざわつき、それが頂点に達したとき、彼女は期せずして異世界への扉を開きます。

異世界に広がる森の中を歩き回り、敵の居城に乗り込む過程で、キャロルは三人のキー・パーソンに出会います。キャロルと三人は力を合わせて、音を盗む魔物を打ち破ります。その三人は、キャロルが住む世界、すなわち地球では、「ガボール・スクリーン」という音楽グループとして知られていました。彼らは音を通じて別の世界にメッセージを送っていました。異世界で出会った三人が実はガボール・スクリーンであることを彼女が知るのは、この不思議な冒険が終わった後です。

◇◇◇

組曲の後半は「In The Forest」から始まります。軽快な音を響かせる曲は、冒険が始まったことを示すかのようです。暗い森の中でもキャロルの心は光を放っている。音が盗まれ、希望が奪われかけた世界。この世界のことを何も知らないキャロルは、持ち前の明るさを武器にして前に進みます。ここに住むものに出会い、その惨状を聞かされても、彼女の心に灯る火は消えません。そんな姿に励まされ、生き残ったものたちは音と希望を取り戻すために動き出します。

リズム・セクションのふたりが曲を支え、前に押し出しています。緩急のついた音の流れが気持ちいいんですよね。歌はリズムに乗り、勢いのあるところと緩やかに流すところを巧みに歌い分けます。メリハリをつけた舞台役者の身体コントロールのようです。ステージで役者たちがアクティブに動き回り、光が駆け巡るシーンが目の前に浮かびます。シリアスな演技の中にもコミカルな動きや表情を見せる一幕です。

◇◇◇

「CAROL2014」では、バンド演奏の中でシンセサイザーの音が際立ちます。それは小室さんと久保こーじさんのプロジェクト「tk-trap」でのアレンジを思い起こさせます。1996年に幕張メッセで行なわれたライブでは「CAROL」組曲が演奏されました。サックスやパーカッションを含むバンド編成に加え、三人のコーラス隊が英訳された詞を歌っています。多彩な音が交差して、ジャズかファンクかフュージョンか、表情は次々と変わっていきます。

ライブ盤を聴いたとき、全体的に乾いた音で構築されていて、その中でシンセサイザーの音が硬くて透き通っていると思いましたね。水晶のように光をたたえる鉱物。それまで聴いていたシンセサイザーは、紗のような硬さを持たない音であり、他の音に被せるものでした。シンセサイザーってこんなに硬かったかなと不思議に思ったものです。「CAROL2014」に感じる、硬くて乾いたシンセサイザーの音。その源流のひとつをtk-trapに見ることができます。

◇◇◇

組曲は最後の曲、「Carol (Carol's theme II)」を迎えます。最初は静謐な空気を漂わせながら、巨大な敵に立ち向かうキャロルの姿を歌います。突如として音は一転し、炎が立ち上がるかのように、盛り上がりを見せます。マーティ・フリードマンのギターが咆哮します。このパートを演出するために彼が選ばれたのではないかと思うほど、激しく、輝きを放つプレイです。シンセサイザーの鋭角的な音がギターと対峙します。戦いの様子を音で描く。

音の奔流が途絶えると、「In The Forest」の歌詞とメロディが再び姿を見せます。「In The Forest」では跳ねて勢いのあったアレンジですが、「Carol (Carol's theme II)」では、ぐっと柔らかくなっています。戦いが終わり、残された者の傷を癒すかのようです。ずっと空を覆っていた雲が少しずつ晴れ、光が差し込んできます。


2014.11.27
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by mura-bito | 2014-11-27 18:19 | Music | Comments(0)
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