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New songs: If you can/Always be there/Alive -TK Mix-
QUIT30

QUIT30

TM NETWORK


アルバムの一枚目の最後を飾るのは「If you can」という曲です。タイトルに動詞はありません。何をするのか、何ができるのか。歌詞からイメージしてもいいし、自分が思い描く言葉を当てはめてもいい。音を聴きながら、いくつものイメージを解き放ち、それらが広がるのに任せてみましょう。

詞を書いたのは松井五郎さんです。安全地帯を始めとした多くのポップスの詞を手がけたことで有名ですよね。過去に一度だけ、松井さんはTM NETWORKに詞を提供しています。1985年にリリースした「ACCIDENT」という曲です。2014年にはリメイク版がアルバム『DRESS2』に収録されましたし、ライブ・ツアー「TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end」でも披露されました。このときの「ACCIDENT」の詞との再会がきっかけだったのでしょうか。再び、小室さんの曲に松井さんの詞が乗ります。

「If you can」の言葉のはめ方を見ると、職人芸というべきか、プロフェッショナルの仕事だと思えますね。メロディにきっちりと乗っているし、言葉のバリエーションやリズムも考えられている。小室さんはラップのような感覚で言葉をはめるし、言葉に合わせて譜割を変えることもある。言葉と曲は一体化して作り込まれます。作詞家は与えられた曲に合わせて言葉を考え、はめていくのが仕事なので、作詞のプロセスは異なって当然ですが。

◇◇◇

「Always be there」を最初に聴いたとき、大切な人に向けて書いた手紙を読ませてもらっているような気がしました。小室さんが詞を書いています。口に出すと照れてしまう言葉だけれど、文字にするからと言って美辞麗句を並べるわけではない。気持ちが伝わる言葉が並び、読まれるのを待っています。その言葉の連なりは心を激しく揺さぶるのではなく、そっと揺らす。

♪思い出を敬う♪という言葉が記憶に残ります。思いもよらない言葉の組み合わせです。思い出に浸る、思い出を大事にする、思い出にすがる。思い出という言葉は良くも悪くも強く、意識が吸い寄せられ、場合によっては依存する。では、敬うという言葉をつなげるとどうなるでしょうか。少し離れたところから見ている雰囲気があります。その存在を認めながら、そこに取り込まれていない。自分の一部であることを、過去の一部であることを自覚しながら、気持ちを寄せ、肯定します。

「Always be there」はコーラスから始まり、コンガの音でシンプルにつくられたリズムが柔らかい印象を与えます。オルガンの音は聴き手を包み込むように響き、それでいてどこか冷静さを含む。クールに振る舞いながらも、優しすぎない優しさを感じさせます。曲の終盤でドラムが入ってくると、気持ちはぐっと盛り上がります。言葉が迫ってきて、静かにゆるやかに熱を帯びます。

◇◇◇

アルバムの最後には「Alive」のリミックスが収録されています。小室さんが音を選び直し、新たな音を加えてミックスしています。これまで追究してきたEDMの流れを汲むリミックスであり、キックの音が強く迫ってきます。キックがミュートされると、音が戻ってくるのが待ち遠しくて、再び鳴った瞬間の興奮が増幅します。さらに、ソフト・シンセの太い音で弾いたリフが四つ打ちに乗り、サウンドはEDMの色に染まります。このリフがオリジナルよりも前に出てきて、強烈なインパクトを残す。シンセサイザーの音の魅力をプレゼンテーションしているミックスです。

EDMというジャンルはもはやひとつに括るのが難しく、何が主流で何が傍流なのか分かりません。いくつかのジャンルに近づき、交わり、時として呑み込んだ結果、流行り言葉のように扱われているのが現在のEDMだと思います。流行はすぐに廃れる。ダンス・ミュージックはいつの時代も仇花として短い命を散らせてきました。その歴史にEDMも名を連ねるのでしょうか。

ダンス・ミュージックのリズムはポップスに入り込み、もはや不可分の存在になっている。それを考えれば、ソフト・シンセの音もEDMを媒介にしてポップスやロックに移植されているのかもしれません。ここ5年ほどでソフト・シンセの音を軸にした音楽が世界を駆け巡ったことは確かです。版図を広げた帝国が縮小するようにEDMという言葉がローカルなものになったとしても、あちこちに埋め込まれたソフト・シンセの音がこのムーブメントの影響力を示している。

EDMに限らず、音楽は混沌に向かっている、あるいはすでに突入しています。ソフト・シンセもハード・シンセも生楽器も同列に扱ってディレクションできる人がおもしろい音を生み出していく。そんな気がします。


2014.11.16
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by mura-bito | 2014-11-16 13:55 | Music | Comments(0)
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