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New mix for QUIT30: I am/ある日ある時いつか何処かで
QUIT30

QUIT30

TM NETWORK


TM NETWORKは2012年4月25日に「I am」、2014年4月22日に「LOUD」というシングルをリリースしました。シングルの表題曲とそれぞれのカップリング曲をミックスしなおしたものが、アルバム『QUIT30』に収録されています。三人のミキサーが音のバランスやボーカルの処理を調整しています。オリジナル・ミックスのときと同じ素材を扱いながら、強弱のつけ方を変えたり使う音を入れ替えたりしています。原型から大きく離れるリミックスとは異なり、その骨格を残し、輪郭も同じままになっている。立体的なものに対して、違う角度から光を当てている感じですね。同じものでも受ける印象が変わる。

◇◇◇

最初に鳴るのは太く重く、芯のあるスネア。ベースとギターが引っ張るイントロ、そしてその波に飛び乗るようにコーラスが響きます。心地よいハーモニーに心躍る、そして引き込まれる。「I am」のアルバム・ミックスは、大胆に音を抜き差ししなくても、ここまで印象が変わるのか、という驚きをもたらします。ミックスを手がけたのはMarti Frederiksen。彼は作曲家、プロデューサー、演奏家、エンジニアなど、いくつもの顔を持ち、Aerosmithを始めとした数々のバンドの楽曲制作に携わっています。

シンセサイザーの音が後衛に下がり、その他の音がフロントに立って曲の印象を決定づけています。キックやスネアの音が強められており、勢いよく曲を貫くベースの音が体感速度を上げる。ギターを弾くのは、Lim Bizkitに所属していたMike Smithです。彼のギターはオリジナルでも充分にインパクトがありましたが、アルバムではギター・ロックの雰囲気を出すくらいに前に出ています。

三人の声は立体的に配置され、それぞれが前に出たり、下がったりします。ウツがリード・ボーカルであり、木根さんと小室さんがコーラスを重ねるというのが基本的な役割ですが、聴いているとその境界線が消えていきます。語尾のはね方や切り方に注視してみると、ボーカル・トラックのテイクが違うようにも聞こえますが、エフェクトの方法や割合によって変わるものなのでしょうか。流れるように言葉を生み出すラップの雰囲気が漂いつつも、メロディの輪郭はくっきりと見える。小室さんがメロディと詞を併せて書くときの特徴ですね。言葉に合わせて譜割は変わり、同じメロディやテンポでも、言葉の違いによって体感速度が変わる。曲の中で速度や印象が変化する「I am」は、アルバム・ミックスによってその特徴が浮き彫りになります。

◇◇◇

「ある日ある時いつか何処かで」はシングル「LOUD」に収録されている曲です。テンポを抑えた柔らかなポップスですが、ソフト・シンセとアコースティック・ギターが混ざり合うサウンドがシャープな印象を与えます。シンセサイザーのリフとボーカルが並走して、曲を前に進めています。アルバム・ミックスでは、アコースティック・ギターが目立つ割合が下がっており、硬くて鋭角的な印象を受けた音は丸みを帯びてマイルドになりました。その代わりに、エレクトリック・ギターやリズム・トラックが強調されている。オリジナルよりもひとつひとつの音を太くして、サウンドの密度を高め、厚みを持たせています。オリジナルではミックスの段階でカットされたと思われる、シンセサイザーのリフが聞こえます。このリフをメインにしたリミックスも聴いてみたい。

映画を締めくくる主題歌が似合いそうな曲です。2014年春のライブ・ツアー「TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end」では、幕が下りた後、映画のようなエンド・ロールが表示されている間、「ある日ある時いつか何処かで」が流れていました。そんなこともあって、この曲は映画に合うような気がします。物語の終幕の余韻を感じながら、映画館のスピーカーでゆったりとこの歌に浸る。すぐに席を立つのは惜しくて、スクリーンの上をするすると流れていく文字を目で追いかけ、優しげな旋律にじっと耳を傾ける。

アルバム・ミックスにおけるもうひとつのポイントは歌のトラックですね。歌が前に出るようにミックスされています。コーラスは前寄りに配置されていて、木根さんの声がツイン・ボーカルのようにウツと並ぶ場面がある。声の軌跡を感じ取れる瞬間はとても立体的であり、混ざり合うハーモニーとは異なる魅力があります。そして、アウトロで繰り返されるコーラスでは、三人の声がきれいに混ざり合います。シングルではフェイド・アウトして曲が終わりましたが、アルバムでは最後のコーラスをすべて聴くことができます。


2014.11.05
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by mura-bito | 2014-11-05 21:35 | Music | Comments(0)
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