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ACCIDENT/金曜日のライオン -- the beginning of the end
TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end

TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end

TM NETWORK


「ACCIDENT」のオリジナルは『CHILDHOOD'S END』に収録され、シングル・カットもされました。オリジナルの雰囲気を存分に破壊して再構築したものが『DRESS2』に収録されています。オリジナルは歌謡曲の雰囲気を強く漂わせており、2014年バージョンである「ACCIDENT 2014」でもメロディと歌詞は同じなのですが、歌謡曲らしさは微塵も感じられない。

小室さんがハード・シンセで奏でるフレーズは、メロディを意識しているのか、実に叙情的です。まとわりつくような、後ろ髪を引かれるような、心の一部を残してきたような。自分自身の影が自分の足取りを重くしている。冷徹とも言えるクールさをまとうことが多いTM NETWORKの曲の中で、『CHILDHOOD'S END』の曲は夏の夜のような湿り気を帯びています。曲によっては初夏の風のようなさわやかな雰囲気を漂わせますが、いずれにしてもクールなダンス・ミュージックを標榜したTM NETWORKとは別の存在と言えるでしょう。実際、『CHILDHOOD'S END』と次作である『GORILLA』の間には、音楽的なコンセプトの変化という境界線があります。ただ、音楽のスタイルは変わっても、「TM NETWORKは宇宙から来た三人組」というストーリーは形を変え、立ち位置を変えながら続きました。

「ACCIDENT」の歌詞は、離れていった恋人のことを思い出すひとりの人間を描きます。どこにでもあるような、ささやかな出来事。小さなことなのかもしれないけれど、当人にとっては深刻なことです。そうした小さな苦しみは誰にでも、どこにでもある。あるいは、小さな喜びを感じる時もある。そういった小さな気持ちの塊がいくつも、いくつも集まっているのがこの世界ですよね。ラブ・ソングも一人の人間を形づくるファクターであるとするならば、潜伏者であるTM NETWORKが調査し、記録、そして報告する対象になり得る、というわけです。

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サバンナの地平線に沈む大きな夕陽をモチーフにしたかのような光がステージを包みます。いつかテレビのモニター越しに見た、アフリカの動物、赤味を帯びたオレンジ色の太陽。脳内のスクリーンには、夕陽を背にして歩く動物の群れが映し出され、オリジナル・ミックスと大きくかけ離れた音が駆け巡ります。アルバム『DRESS2』、そしてこのライブ・ツアーの曲の中で、最もEDMの要素が多く含まれている曲は何か。答えは、この「金曜日のライオン」でしょう。

キックの音はTM NETWORKの曲の中でも随一の厚さと重さを誇り、もはやこの曲をポップスの枠に収めるには無理がある。インストゥルメンタルの部分が長く、歌はそれらをつなぐ役割を果たしているかのようです。ウツのボーカルは、EDM的な要素を強めるためのサポートに徹している、という感じですね。TM NETWORKの特徴は、曲やコンセプトの違いによってメンバーのポジションが変わることがある、ということです。絶えず動いてフォーメーションを変えるサッカーに近い。最適な表現を実現するために、三角形は自在に形を変える。

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「金曜日のライオン」はTM NETWORKのデビュー曲であり、1984年にリリースされました。「終了」というコンセプトを掲げた1994年のライブではバンドらしさを感じましたし、その10年後には「DOUBLE-DECADE」というコンセプトのもと、トランスの要素を多く含んだアレンジでプレイされました。そして2014年は「30th FROM 1984」と銘打ち、EDMへの転生を遂げました。強烈な四つ打ちの中、シンセサイザーの音をプレゼンテーションしています。ウツのポジションは言うなればEDMのDJ/Producerでしょうか。Krewellaのような、歌うDJ。そのイメージが適切かどうかはともかく、役割が純然たるボーカリストとは異なっていた、というのが僕の考えです。

Access社のVirus TI、Studiologic社のsledgeといったハード・シンセの音が、ソフト・シンセの音に満ちたサウンドの中で独特のプレゼンスを感じさせますね。EDMのDJ/Producerは曲を流すだけでなく、それぞれのパフォーマンスでも魅せてくれます。Krewellaは姉妹によるボーカルで魅せるし、AVICII、Zedd、Afrojackのプレイ・スタイルは個性があります。その仕草をすれば誰かがわかるくらいに。そして、小室さんを象徴するパフォーマンスはやはり「鍵盤を弾く」です。指先から血を流すくらいに激しく鍵盤を弾く姿が2011年のDOMMUNEで多くの視聴者の目に映りました。もちろんすべての曲で鍵盤を弾いているのですが、EDM化した「金曜日のライオン」でハード・シンセを弾く姿が印象に残っています。

RETRACE/LOUD/Scene1/COME ON LET'S DANCE/KISS YOU
Scene2/永遠のパスポート/ACCIDENT/金曜日のライオン
Scene3/RAINBOW RAINBOW/BE TOGETHER/CUBE
Scene4/I am/JUST ONE VICTORY/KEYBOARD SOLO/GET WILD
Scene5/SELF CONTROL/Scene6/BEYOND THE TIME/Scene7


2014.10.02
by mura-bito | 2014-10-02 21:56 | Music
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