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キーボード・マガジン No.385 シンセサイザー特別対談 冨田勲×小室哲哉

Keyboard magazine 2014年7月号 SUMMER

リットーミュージック


『Keyboard magazine』の2014年夏号では、「シンセサイザー特別対談 冨田勲×小室哲哉」という企画が掲載されています。後輩という立場で話す小室さんの姿が新鮮です。それゆえか、シンセサイザーに対する自らの考えを並べる様子はいつもと違う雰囲気、言うなれば若手のような勢いがあります。「今の音はソフト・シンセだ」と断言する小室さんが見ている未来はどのようなものか。飽くなき音の探求は続きます。

僕は今、TM NETWORKのツアーをやっているんですが、もうライブでは半分以上ソフト・シンセなんですよ。

小室哲哉
シンセサイザー特別対談 冨田勲×小室哲哉 – Keyboard magazine No. 385

「TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end」というタイトルのツアーが1ヶ月ほど開催されていました。最終日は東京国際フォーラムで迎え、僕もその場に居合わせ、素晴らしい音楽体験を得ることができました。エレクトロニック・サウンドに満ちたライブは、とにかく気持ちいいの一言に尽きます。

基本的に今は、ハード・シンセについては、ドイツかスウェーデンが強いんですよ。それらの音はとても現代的なんですけど、PCの中にあるソフト・シンセの方が今のサウンドとしてしっくりくるんです。ハード・シンセが好きな僕でさえそうなんですよ。

小室哲哉
シンセサイザー特別対談 冨田勲×小室哲哉 – Keyboard magazine No. 385

ライブではシンセサイザーが小室さんの周りをぐるりと取り囲むのはお馴染みの光景ですが、その中でもソフト・シンセを弾くシーンが多かったですね。ハードディスクから鳴らす音もソフト・シンセらしきものでしたし、確実にハード・シンセの比率は減っていました。これから揺り戻しがあって、ハード・シンセの割合もいくらか回復するとは思いますが、それは別にしてもソフト・シンセの音が気持ちいいのは確かです。

ただ同じメロディをハードで弾くのと、ソフト・シンセで弾くのとでは、全然聴こえ方が違ってくるんですね。それでメロディも自然と変わってくるんですよ。メロディを決めるとき、上がった方がいいか下がった方がいいか、ソフトとハードで変わる。

小室哲哉
シンセサイザー特別対談 冨田勲×小室哲哉 – Keyboard magazine No. 385

同じメロディを弾いても違いが生まれる、というのはおもしろい意見ですよね。ソフト・シンセはデータを音に変換しているので、ハード・シンセほど音が偶発的な変化を生まないのでしょうか。その違いがシンセサイザーの新たな魅力なのかもしれませんね。もちろん、最終的に僕らが耳にする音はいろいろ重なっているものであり、細かく解析している小室さんの考えはもっと深いところにあると思います。

メロディ・ラインとリズムの組み合わせは、まだまだすごく可能性があると思うんですね。そこに音色まで含めたら可能性は無限に近い。

小室哲哉
シンセサイザー特別対談 冨田勲×小室哲哉 – Keyboard magazine No. 385

対談はシンセサイザーの話から、時として音そのものにフォーカスします。ソフト・シンセの隆盛は音の画一化を招いているわけですが、そこから一歩も二歩も先に進むためには、やはり音楽家が生み出すメロディなんですね。今の音を知り尽くしてから、今の音楽に足りないものを見つけ出す。そのプロセスが小室さんらしいです。そういえば、4月にソロ・アルバムを発表したときは、ソフト・シンセの音を意図的に濁らせて変化をつける* と述べています。

"届く音" っていうのは僕も考えていますね。例えば、フィルターの開閉や、リリースの具合、若干の変化かもしれないけど、これぐらいだとみんなが気持ちいいんじゃないかとか、細かいことを気にしながらライブをやっています。

小室哲哉
シンセサイザー特別対談 冨田勲×小室哲哉 – Keyboard magazine No. 385

小室さんはキーボード奏者なんですよね。シンセサイザーの音を調整して、ベーシックとして鳴らしている音とミックスして会場に響かせる。DJが観客の反応を見て曲を変えたり音の強弱をつけたりするのに似ています。まあ、「小室哲哉はDJじゃない」と言われると思いますが、リアルタイムで音を操り、気持ちを高める音を生み出すのなら、肩書きは何でもいいですよね。その場でサウンドを作り込んでいくので、むしろエンジニアなのかもしれませんが。

一番最初のモーグの時代と今のソフト・シンセの時代、この大きな2つの時代を比べないと、現代の全世界の音楽ユーザー、音楽ファンを惹きつけるものは作れないと思っているんです。そこを紐解いていかないと。今は何となく流れでそっちの方向にいっているだけなんで。

小室哲哉
シンセサイザー特別対談 冨田勲×小室哲哉 – Keyboard magazine No. 385

2014年のTM NETWORKは、かつてないほどにシンセサイザーの音に満ちています。過去の曲をリメイクしたアルバム『DRESS2』の音は、確実に2014年の音だし、世界を席巻するEDMサウンドの流れを汲んでいます。ライブではDUBSTEP的な音を含め、ことあるごとにソフト・シンセの音を鳴らします。それはまるで音のラボラトリー。世界を熱狂させ、踊らせているシンセサイザーの音で繰り広げられる壮大な実験に、僕らは立ち会います。

* inthecube: Sound & Recording Magazine 2014.5 小室哲哉インタビュー

2014.06.17
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by mura-bito | 2014-06-17 22:45 | Music | Comments(0)
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