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音楽と物語に関する文章を書いています。
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相手に届けるための言葉はあなたのためでもある
2011年3月11日以降、日常に非日常が組み込まれたし、一時的に忘れることができても否応なしに思い出す日々が続いています。もちろん、忘れないために意識的に思い出すこともあります。被災地から遠く離れていてもそのことを忘れないのは、どのような立場であっても重要です。けれども、そういった他人の非日常を覚え続けるという経験をしてこなかった人が多いとすれば、それは経験したことのないストレスですよね。考えすぎて、心配しすぎてつぶれてしまう、あるいはPTSDめいた状態になってしまう、そんな現象に注意してほしいとのtweetが地震・津波後にいくつか見ましたが、今一度それを思い出します。

非日常を内包した日常がこれだけ続き、そしてこれからもずっと続くと、そんな体験がなければ、ストレスは積み上がるばかりです。そうなると、言葉も荒くなるんですよね。かつては「何とかしてくれよ」と、無責任に愚痴をこぼしてガス抜きをしていればよかったのが、もはやそれだけでは気持ちは晴れず、くすぶり続ける。そこに、例えば「政府が、東電が情報を隠している」という燃料が放り込まれると、ぱっと火が点いて、場合によっては罵りの言葉をまき散らす。そしてまたくすぶる。そんなことを繰り返していると、すり減っていくんです。身も心も、大きく言うなら生命そのものがすり減る。罵倒することにエネルギーを使って、疲弊して、それに何の意味がある?

だから、ほんとうに「どうしても言っておきたいことがある」という人は、言葉を選ぶ。情理を尽くして賛同者を集めない限り、それを理解し、共感し、同意してくれる人はまだいないからです。

内田樹『街場のメディア論』

放射性物質のこと、東京電力の福島第一原発のこと、TPPのこと…他にも何かあるでしょうか?オリンパスもあれば、出版社とAmazonの交渉の話もそうかもしれません。対面で話を聴いていても、テレビで見ていても、ネット上の言葉を追っていても、人を傷つける言葉で人を動かすことはできない、と思いますね。もちろん、美辞麗句でかりそめの賛同を得たところで、長続きはしないでしょう。強固な共有。そのためにはどのような言葉を選び、発せばよいでしょうか。

こと原発事故・震災問題の議論では『内容に妥当性があるにも関わらず、「話し方の構え」でこじれたケース』が多い。何を主張するにせよ、「事態の解決/改善に資する」ための内容+語り方(感情による修飾抜きの)に徹した方が、よりマシな状況につながる気が。

目の前の相手との議論に勝とうとか、そのもの言いは許せん、とか(大きな意味では)どうでもよくて/優先順位が低くて、そこで発される言葉が、震災からの復興や原発事故で負った課題を解決・改善することに、ささやかながらもつながっていくかどうかが、より大切だと思うわけです。

橋本麻里Twitter
http://twitter.com/hashimoto_tokyo/status/142420220701712384
http://twitter.com/hashimoto_tokyo/status/142422914887729153

「メディアが危険性を報じない状況に反対する立場ですから、余程インパクトのある表現を選ばないと受信者にスルーされてしまうと懸念してのことと思いますよ。内容が妥当かどうか、受信者が修飾に惑わされない姿勢も重要。それが「リテラシー」では?」とのご意見をいただきました。

(承前)「メディアが危険性を報じない」かどうかは要検証だと思いますが、仮にメディアや東電や政府が、怠惰かつ卑怯だとして、怠惰には怠惰で、卑怯には卑怯で、「(仮に)事実の報道がない」時に「真偽の検証を疎かにし、インパクトのある表現で修飾した噂」で対抗することが、事態の改善に

(承前)つながるとは思えません。そうした泥仕合の泥をかき分けて宝石を見つけるよう、受信者に求めることが「リテラシー」だとも。私はもう少し受信者を信頼しているので、卑怯や怠惰を覆すには、面倒で誠実な検証、揶揄や嘲笑や罵倒ではない言葉と態度を積み上げて行くべきだと考えています。

橋本麻里Twitter
http://twitter.com/hashimoto_tokyo/status/142475678896504832
http://twitter.com/hashimoto_tokyo/status/142475690057543681
http://twitter.com/hashimoto_tokyo/status/142475700836900864

有名人やジャーナリストに限らず、何かしらの感想を言う、書くだけでも、そこには伝え方があるんですよね。ただ言いたいことを言いたいように言えれば満足であるなら、まあそれは好きにすればいいと思いますが、少なくとも他人の目に触れないところに、できれば井戸にでも叫んでおいてもらいたい。そうではなくて、誰かに届けたいという気持ちがほんのわずかでもあるならば、相手の心に届くような言葉を選んだ方がいいでしょう。そうやって共感を得られれば自分にも余裕が生まれますし、そうなればネガティブな思考や行動よりはポジティブなものにつながりやすいのかなと思います。そんなことを肝に銘じて、言葉に向き合い、道具として使用しています。

2011.12.03
by mura-bito | 2011-12-03 16:05 | Life
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