IE9ピン留め
inthecube
言葉を編んで心に響いたことを刻みます。
Expressing the impressions by some words.
A lot of walking, a lot of talking.
So many smiles, so many times.

地域コミュニティによる情報発信を活発化させるために
情報の呼吸法

情報の呼吸法

津田大介


津田大介さんが情報との付き合い方を綴った本です。Twitterを中心としたソーシャルメディアの活用方法としても読めますが、大きく捉えて、情報を取り込んで発信することの意義を読み手が考えて実践するためのガイドブックと言えます。すでにマスメディアともソーシャルメディアとも自分なりの軸を定めて付き合っている人には、新しい発見はないでしょう。ソーシャルメディアの良さがわからないと思っている人には、さまざまな発見があると思います。

目的があってこその道具。目的に近づくためにいくつもの目標があり、その目標を達成するための道具です。そう考えれば、どのようなことも目的になり得ます。個人ジャーナリズムも、音楽で生計を立てることも、学生時代の仲間とのコミュニティを維持することも、いわゆるママ友ネットワークを充実させることも。そのためにどのようなツールを選択して活用するか、どのように情報を吸収して、提供して、具体的な行動を実現するか。自分の目的を実現するために、ソーシャルメディアが活きるかどうかはやってみてから考えればいいですよね。

栄村にはNPO(NPO栄村ネットワーク)が入って村の情報をブログでこと細かく発信しているのですが、その情報発信がとてもうまかった。とりわけブログがよくできていました。被害状況や復興の課題が見やすくまとめられているのが、その最大の特徴です。そのおかげで、この小さな村に義捐金が9億円近くも集まりました(2011年12月現在)。福島・南相馬市の場合は依然として3億5千万円くらい(2011年10月現在)なので、その差はとても大きい。

情報発信で関心を惹きつけ、シンプルな仕組みでお金を集める。だから「情報の血流」をよくすることはローカルコミュニティにとって死活的問題になっていくでしょう。まずはマスコミでは報じられていない事実を発信し続けることが第一です。5W1Hを明確にして、伝えてくれそうなところに押し付けがましくなく発信する。

津田大介『情報の呼吸法』

これから特に重要になっていくのは、地域コミュニティによる情報発信です。ホームページがあるだけ、ブログがあるだけ、ツイッターやフェイスブックのアカウントがあるだけではほとんど意味を成さない。コミュニティではありませんが、僕がおもしろいと思っているのがNHK(@NHK_PR)やニッセン(@nissen)です。中の人のパーソナリティと企業の情報がそれぞれのやり方で組み合わさって人気を博しています(そういえば「まんべくん」もあったよな…)。もちろん、キャラクターを押し出すものがすべてではありません。『情報の呼吸法』では「NPO法人栄村ネットワーク」の例が紹介されていました。

NPOだろうが地方行政であろうが、情報発信の目的を明確にすることが求められます。目的を明確にして適切なツールを選択して組み合わせて発信する。個人レベルでも組織レベルでも、情報を受信・発信することの目的を明確にできれば、無駄な対立はなくなると思います。例えば世代間闘争だとか、公務員バッシングだとか、マスコミ陰謀論だとか。そんなことにエネルギーを費やしている時間がもったいなくなる。組織における当事者意識の醸成というのは、まずは個人で、自分の興味のあるジャンルを軸にして情報をINPUTそしてOUTPUTするところから始まります。情報発信の経験をメンバーがそれぞれに持っていれば、組織であっても発信の目的は共有できるんじゃないかなと思っています。

★参考
NPO法人栄村ネットワークのブログ「栄村復興への歩み」
http://sakaemura-net.jugem.jp/

また、栄村への支援やその使い道については、津田さんのメルマガで知ることができたので、以下のページに転載しました。
inthecube:長野県栄村の支援状況調査(津田大介の「メディアの現場」 vol.18より)

2012.01.29
# by mura-bito | 2012-01-29 15:51 | Life | Trackback | Comments(0)
「百椿図 椿をめぐる文雅の世界」展
南青山にある根津美術館で「百椿図 椿をめぐる文雅の世界」という展示を観てきました。英語での表記は "One Hundred Camellias: Blossoms Heralded in Literature" です。主題となっている「百椿図」は大きな絵画かと思いきや、さまざまな椿が描かれ、それぞれに和歌、俳句、漢詩が添えられた巻物でした。よく見ると、本、鼓、扇子、筆立て、水差し、団扇、紙などを花器に見立てて椿が生けられており、言うならば、巻物に延々と描かれたシュールなインスタレーション。この時代にこんな感性があったのかと驚きましたが、いやむしろそれが後世にまで残っていることの方が重要かもしれません。

昔の美術というと教科書に載っているようなものを想像していましたが、特に歌川国芳の作品を知ってから、近世日本の表現ってとてもユニークだし、市井から生まれる芸術のおもしろさを感じています。「百椿図」も江戸時代につくられたそうですが、その時代のアヴァンギャルドな精神の表れでしょうか。それとも自然に生み出された芸術表現なのでしょうか。いずれにしてもおもしろいですよね。現代アートのお株を奪うような型破り。あるいは太古の昔から繰り返されてきたリバイバルの一部なのか。いつの時代にも保守本流があって、そこからドロップアウトした支流が独自の流れをつくっていくんですね。

日本に蓄積されたさまざまな遺産に触れるとき、僕はいつも原研哉さんの言葉を思い出します。

原さんは現代日本の進むべき道の原点を足利義政の時代に見出します。応仁の乱で焼けてそれまでの蓄積が失われた京都で静かに生まれた美意識こそが、経済的にも精神的にも頼るべきロールモデルを見出せない今の日本に必要である、と。著書である『白』や『日本のデザイン』の中で、茶室や「松林図」を引き合いにしながら、原さんは日本の美意識について言葉を丁寧に重ねます。10年20年よりも大きな単位で日本を振り返り、もちろんそこにただ戻るわけではなく、そのころのメンタリティから日本らしさを抽出し、現代の生活に馴染ませるようにアレンジしようということですね。

「松林図」を前に言葉を失って立ち尽くした体験は強烈でしたが、時代も作風も違えど、「百椿図」や国芳の武者画や美人画が琴線に触れるときの感覚もインパクトがありました。遠い過去につくられたものも、つい今しがた生まれたものも等しく新鮮に響きます。それに巡り合った瞬間こそが、現在進行形と言うべき状態ですよね。過去の時間と現在の時間がぎゅっと結びつき、自分の心を震わせる。おそらく美術品をコレクションすることはありませんが、どのようなかたちであっても、袖が擦り合うように巡り合えたら、きっとそれはすてきな体験なんじゃないかなぁと思うのです。

2012.01.27
# by mura-bito | 2012-01-27 21:57 | Visualart | Trackback | Comments(0)
TM NETWORK WILL AWAKE
TM NETWORK覚醒!春に行なわれるチャリティ・イベントにTM NETWORKが出演します。対バンは米米CLUBおよびPRINCESS PRINCESS。同じ時代をともに駆け抜けたバンドですよね。程度の差こそあれみんな長い眠りについていましたが、ここぞとばかりにそれぞれの音楽を響かせてほしいですね。

たとえ観られなかったとしても、こうして3人が集まるということは本当に嬉しい。待ち望んでいた点がついにひとつ打たれました。大きな点です。願わくばそれが始点となって次の点につながり、直線になってほしいと思うのは、もうどうしようもなく正直な気持ちですよね。何度もインターバルをはさみ、その終わりを告げる活動再開の報せに心を震わせてきました。新しい曲を聴くのを心待ちにし、ライブ前にはどんなアレンジで聴けるんだろうとあれこれ思いを巡らせる。それがもう楽しい。

そういえばこんなことがあったよなと思って個人的な思い出を話したり書いたりしても、いつかまた3人の音楽が聴けると思えば、それは懐古趣味ではありません。あの時は良かったよね、ではなく、あの時も良かったけどこれからの方もおもしろいよきっと、と思えるんです。音楽のスタイルがプログレになったりトランスの要素を入れ込んだりしても楽しかったし(もちろん今でもね)、詞の世界が物語を感じるものであっても小室さんの独白だったり苦しんでいる中での決意だったりしても、リアルタイムに言葉を感じることができて良かった。

8年前の今ごろなんですが、友達の付き添いで入った店で手持ち無沙汰に時間をつぶしていると、有線から流れてきた音楽に引っかかるものを感じました。これは小室さんっぽいよなぁ…globeのインストかな…と思っていたらウツの歌が始まってこれが新曲か!と思い、一気に沸点を超えて身体が熱くなりました。それが「SCREEN OF LIFE」という曲とのファースト・コンタクトです。不意に聞こえたメロディに小室さんの輪郭を見ることができて、それは素直に嬉しかったことを鮮明に覚えています。

僕にとってTM NETWORKは、その姿を変化させながら、その度に楽しい体験をさせてくれる存在です。だからどれだけ音が変化しても、言葉に込められたテーマが移ろっても聴きたくなるのです。

2012.01.25
# by mura-bito | 2012-01-25 22:49 | Music | Trackback(1) | Comments(0)
平戸祐介「いらない音を出していては、いくらテクニカルで難しくても雑音なんです」
JAZZ JAPAN Vol.18

JAZZ JAPAN Vol.18

ヤマハミュージックメディア


quasimodeのライブでも自分がやっている音楽について、平易な言葉でオーディエンスに語りかけてくれます。マイペースだけども、実に真摯に向き合っているんだろうなぁといつも思います。『JAZZ JAPAN』2012年2月号では平戸祐介さんのインタビューが掲載されており、先日リリースしたソロ・アルバム『Speak Own Words』について話しています。

ジャズはもともと最先端の音楽。常に何か別の音楽と融合したり分裂を繰り返して,その時代を表現してきた音楽ですよね。

平戸祐介 (quasimode)
平戸祐介インタビュー - JAZZ JAPAN vol.18

「いらない音を出していては,いくらテクニカルで難しくても雑音なんです」という言葉はとても鮮烈で、強く印象に残りました。先輩のミュージシャンとセッションをしたとき、器用に弾けるところをアピールしようとしたら、厳しい言葉を投げかけられたそうです。そのような体験から生まれたこの言葉は、多くの人が自分に当てはめることができそうですよね。会話で伝えるとき、文章で伝えるとき、相手に何かしらを伝えるときには意識しておきたいです。

自分で思ったことを弾くことが大事なんだと教えられました。弾かないことも音楽だし,全体を考えて,そこに必要なことを弾くことを意識したりとか。確かにそうなんですよね。いらない音を出していては,いくらテクニカルで難しくても雑音なんです。

平戸祐介 (quasimode)
平戸祐介インタビュー - JAZZ JAPAN vol.18

ふと思ったんですが、『JAZZ JAPAN』の表紙って、無駄な文字がなくて好きです。

2012.01.24
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# by mura-bito | 2012-01-24 21:08 | Music | Trackback | Comments(0)
山中千尋さんって多面体ですよね。
JAZZ JAPAN Vol.18

JAZZ JAPAN Vol.18

ヤマハミュージックメディア


多面体のような方です。山中千尋さんの音楽はもちろん、その言葉に触れていると、浮かぶイメージは多面体。点ではないし、線でもない。かといって単純な平面ではなく、もっと多くの点がダイナミックに存在する。四面体のように転がしたらすぐに止まって動かなくなる多面体というよりは、八面体のように軽やかに転がるイメージです。ライブで披露されるアグレッシブな演奏、ラジオやMCでの丁寧な口調、ユニークな視点で書かれた文章。文章は時として強烈な皮肉を孕み、そうかと思えば優しく声をかけるような温かみを感じさせます。

『JAZZ JAPAN』の最新号では「All About Chihiro Yamanaka」と題した特集が組まれ、インタビューや自身のアルバムについてのコメントを読むことができます。コラムでひとつのテーマを綴るときとは異なり、鋭い言葉は影を潜めています。言わば横綱相撲。雑誌の表紙を飾るフロント・マンとしての矜持が伝わってきます。僕がその音楽を知る何年も前から注目されていて、スポットライトを浴びているわけですから、表紙や巻頭特集に出るなんて慣れっこかもしれません。誌面の一画で研ぎ澄まされた言葉を光らせている印象が強いので、雑誌の顔として存分に仕事をこなす姿はなんだか意外でした。

オリジナル〈レイン,レイン・アンド・レイン〉は,原発事故に対する想いを綴りました。雨が降って洗い流して再生してほしいという願いです。この曲は左手の和音(和声)が解決しないんです。終わらなく続きながら,解決に向かう力強さを同居させています。

山中千尋
All About Chihiro Yamanaka - JAZZ JAPAN vol.18

そっと心の片隅に引っかかった言葉があったのでピックアップしてみます。2011年の夏にリリースされた最新アルバム『Reminiscence』についてのコメントで、1曲目に収録されている「Rain, Rain and Rain」のことが取り上げられています。こうした想いを言葉にする方でもあり、その姿勢もまた多面体を構成する面のひとつ。この文章を読んだ上でこの曲、そしてアルバムを聴き返してみるのです。

2012.01.23
# by mura-bito | 2012-01-23 22:35 | Music | Trackback | Comments(0)
iBooks Authorと教材のシェア
先日、iBooks Authorが発表されました。Macで電子書籍を作成できるツールですが、テキストのみならず、画像や動画も埋め込めるようです。主にiPadで読む教科書を想定しているそうな。早速ダウンロードしてサンプルを作成している人もいて、さすがマカーはスピーディー。作成したデータを売るのはiBookstoreのみに限られ、Amazon、Barnes & Noble、koboなどがひしめく電子書籍の市場とはまた毛色が違うのかなと思いました。無料であればiBooks Authorで作成したものは自由に配布できるそうなので、教材のシェアが盛り上がりそうです。

先生や研究者が自分用の教材をつくって他の人とシェアする。知のシェアの一形態として、とても魅力的です。教え方って先生によって違うし、先生どうしで刺激を与え合うことができるかもしれません。必ずしも評価(会社で言うところの業績評価)にはつながらないかもしれませんが、教材のシェアによりモチベーションが向上するならいいかなと思います。もちろん、教材を売りたければ売ればいいし(その場合、生徒・学生は審査員ですね)。指導要領だのなんだのと結局はしがらみがありそうなので、実現するとすれば大学教育でしょうか。

小中高でもこうしたリッチ・コンテンツに触れてもいいんじゃないですかね。今さら子供からコンピュータを切り離すわけにもいかないでしょうし、それであれば使い方(あるいはネットの世界との向き合い方)を丁寧に教えて、活用させる方が建設的だと思いますよ。電子教材を子供が読んでいたら親も読んでみるだろうし、電子書籍を読む習慣が広まることも考えられますよね。それは出版社にとって悪いことではなく、電子書籍のマネタイズに関する福音にはならないだろうけど、市場を形成する追い風になる可能性はあります。

参考記事
EBook2.0 Magazine:ジョブズの遺産:iBooks新戦略をめぐる7つの問い

2012.01.22
# by mura-bito | 2012-01-22 11:08 | Book | Trackback | Comments(0)
INPUT - OUTPUT - ACTION
いろいろなことが起きて、駆け巡って、忘れられていきます。思い出すためのトリガーは人によってそれぞれでしょうが、できる限りセンチメンタルなものには依拠しないというのが個人的な態度です。もちろんセンチメンタルな言葉や映像が必要なケースはあります。考えないで深く感じる時間はあってもいいし、そのときにこそセンチメンタルなものが活きてくる。2012年3月11日はきっとそういう日だと思うし、アメリカの人々にとって9月11日は同じようなものかもしれません。

誰しも日常はあるし、忘れないでいようと思っても多くのことを忘れる。けれども思い出すことはできますよね。そのためにも、目に留まり心に響いた言葉をことあるごとに書き留めています。多くの情報に触れながら、丁寧に言葉を追って、自分の考えを整理し、書きたいと思ったときにはきちんと書く。これらの言葉がどのように結実するか、自分の行動にどう結びつくか。そのあたりは予測もできないけれど、その不確実性を楽しみながらINPUT - OUTPUT - ACTIONのサイクルを回します。少しは自分の思い描いていたことが実現していますが、もちろんまだまだこれからです。世界よ回れ!

この状況下で、「複数の意味を持たない、判断に迷いようのない、単純な結論を与えてほしい」という陥穽に陥らず、踏みとどまり続けることの難しさ。

橋本麻里Twitter
http://twitter.com/hashimoto_tokyo/status/158457985792880641

意志をつなげてマネタイズ。これがプラットフォームになるだけでもう行政とか政治かとかホントにいらなくなるというか役割が変わる。もう行政や政治かは民が頑張ってやってることのジャマをしないでスムーズに事を進めることだけに注力した方がいいと思うよマジで。

津田大介
津田大介のデジタル日記 - 津田大介の「メディアの現場」 vol.18

とにかくシンプルな結論が欲しいという声を聞くたびに、僕はそれは無理だろうと思います。多くのものはグレーであることは認識しつつ、その状態で判断することが求められている。たとえば行政には行政の、市井には市井の役割があると思います。あるいは家族にも企業にもそれぞれの役割がある。舞台上のすべての役者には役割があるように、各々の立ち位置でやれることを考えて判断して動く、というところでしょうか。アイコンタクトをとりながら言葉を発し、前に出たり後ろに下がったりする。光が当たることもあれば、暗がりの中でそれでも立っていることもある。サッカー、あるいはライブでも置き換えられますね。同じ方向を見据えつつ、リアルタイムに考えて動くものであれば何でもいい。

さてさて、同じ方向を見るためには…みんながINPUTとOUTPUTを繰り返していくことが重要だろうと思いますよ。すぐにACTIONに結びつかなくても、ソーシャルメディア経由で発信し合ってもいいし、友達や家族との間でOUTPUTを交換してもいい。他の人が見て未熟あるいは見当違いと思うこともありますが、繰り返していれば自分の考えが整理されて伝え方のポイントも見えてきます。過去のOUTPUTを恥じる必要はなく、認識の誤りは正して、他の人とは異なる視点を突き詰めていくのもいいですよね。自分の考えを伝えるために、その手段を見つけることが必要です。自分の考えを伝えることができれば、相手の考えを受け止めることもできる。だから、考えが食い違ったとき、その溝を埋めるために考えをすり合わせやすくなります。それがすなわちACTIONなのだろうなと思います。そこを見据えた上で、INPUTとOUTPUTを根気よく続けていきませんか。

2012.01.21
# by mura-bito | 2012-01-21 19:00 | Life | Trackback | Comments(0)

fujiokashinya (mura-bito / 4N8)
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